笑顔を作ることができるのは人類だけの特権です。
人間の顔には覚えきれないほど、数多くの表情筋がありますが、笑顔を作るというのはこれらの筋肉を実に匠に操作しなければなりません。(勿論、無意識に行われていることです)
表情筋をバランス良く使うとはどういうことなのか?
実は内臓の働きを強化します。あるいはリンパ管や血管、骨なども丈夫にします。
どうしてでしょう?
他の筋肉もそうなのですが、特に表情筋は中胚葉という共通の“ご先祖様”から出来ていて、互いにリンクしているからです。
特に表情筋は呼吸器官との関連が強く、笑顔でいると呼吸が深くなります。呼吸はすべての根源ですから、充分な酸素が行き渡って、それぞれの内臓器官が本来の役割を全うすることになるわけです。
昔から“笑い”は免疫力を強くすると言われていますが、これは自律神経が免疫に及ぼす影響を言っているのですが、もっと深掘りすると、表情筋が直接的に免疫細胞とリンクしているからです。
中々面白い仕組みですね。
逆にいいますと、いつも不機嫌で、眉間にシワを寄せ、怒っているような人は、そのまま内臓が緊張します。短期スパンではほとんど影響ありませんが、一生という長期スパンで考えると、身体全体の老化が早くなるでしょう。
何より、不機嫌な人は他人に嫌な思いをさせるので、嫌われます(笑)。
いつだったか有名人が婚約発表したときに、インタビューでどこに惹かれましたか?という質問に対して『いつも機嫌が良いのです。この人だったら一生楽しく居られるなと』という趣旨のことを言っていました。
また別の機会では誰かのエッセーで、どんなイケメンでも、美人でも、それだけで結婚を決めると後悔します。ではどういう人を伴侶とすべきか?ズバリいつも機嫌の良い人です。これから人生の大半を過ごすわけですから、家でまでも緊張感があるような生活をしているといつか破綻します・・・云々」
笑顔というのは「あくび」と同じで、実は感染るのです。人間にはミラー細胞というのがありますから、相手が笑顔だと自然に自分も笑顔になってしまうわけです。お互い笑顔である生活が楽しくないはずはありません。
そして、笑顔でいるということはなんせ“ただ”なんですね。お金がかかるわけでも、なにか高級な装置を買う必要もありません。
もちろん、TPOを考えなければイケナイですよ。怒られているのに、ヘラヘラ笑っていては、火に油を注ぐようなモノですし、電車の中で相手も居ないのにニヤついていれば、ただのアブナイ人ですよね。ここら辺は常識に任せます。
また、子供の躾やいい加減な仕事でミスをしたとき相対して叱らねばならないこともあるでしょう。ここも常識に任せるしかありません。賢明な読者なら区別はつくと思います。
これら例外はあるにしても、基本、機嫌の良い人であることは精神衛生上も身体健康上も良いこと尽くめなのです。
”笑う角には福来る”とはいいますが、日本独自のものではありません。欧米でもウイットとユーモアは公人の必須条件みたいなところがあって、スキャンダルさえも、このウイットとユーモアで切り抜けた政府高官がたくさんいます(それはそれで問題のような気もしますが)。
笑いを誘うと相手の攻撃心が緩むという“法則”みたいなものを利用する術(すべ)を心得ているに違いありません。
我々は芸人になる必要はありませんが、寛容し、受け入れてあげる必要のある職種に就いています。
これはその場で取って付けたようにはできませんので、普段からそのような生き方を心がけねばならないでしょう。
“満面の笑みをたたえて”クライアントさんを迎えるのです。それが自然にできるようになるまで、プロデビューは控えたほうが良いかもしれません。
そして実生活でも機嫌の良い人になることです。
どうせ、限られた一生です。
しかめっ面で過ごすのも一生なら、機嫌良き人で過ごすのも一生です。
ならば、内臓をリラックスさせ、体調を維持し、かつ周囲の人に威圧感を与えず安心感という魔法の粉を振りまく人になろうではありませんか。