ウオノメ、うおの目、魚の目、どのように表記すべきか決まってないようですが、元は、間違いなく、その形状が魚の目のように見えるところから付いた症候名です。

原因は、足への冷え等によって血流が悪くなり、局所的な免疫低下が起き、結果、共生していたウイルスが暴れだしたことによるものです。

ウイルスのよって冒された組織が根深いところで“芯”のようになって凝り固まっているわけです。これが単なる角質化とは違うところですね。

述べたように根底には足の血流不足がありますから、足揉みを続けていくにつれ血行が良くなり、自然に無くなることも多いのですが、頑固なものですと、そこに居座って、中々、治ろうとしてくれません。

昔は暖房も発達していず、レッグウォーマーもなく、温かい靴下もない時代でしかたから、結構、症例が多くて、悩みの種ではあったようです。

現在は逆におしゃれ感覚から薄着になって、体が冷え、結局、足の血流も不足しウオノメに至ると・・・そうですね、一種の血流障害のバロメーターみたいな役割が期せずしてあるのかもしれません。

そんなことで、このウオノメ対策というのは昔から考えられていたのですが、その中でも、ある書物でオヤッ!と思ったことがあり、かつ実践したことがあるので、ご紹介致しましょう。

現代のおけるお灸の大家として有名だった故深谷先生という方が記述した内容のものでした。

それは製本化され本屋に並ぶ類のものではなく、講義録的なものというのでしょうか、誰かが口述を筆記して残したもののように思われました。或いは専門誌に発表した内容なのかもしれません。

いづれにしても、コピーしてホチキスで止めてあるような、見てくれは高級感が全然ないものです。

しかし、皆様もご存知でしょうが、製本化されているからといって、内容が素晴らしいとは限りません(っていうかクダラナイ内容の本がヤマほどありますね)。逆にコピーをホッチキスで止めてあるような体裁でも、琴線に触れるような内容のものもあるわけで、故深谷先生のは後者であることは間違いありません。

私は鍼灸師ではありませんし、そもそも鍼灸にあまり興味がないのです。

しかし、自分の体質が冷え性気味であったところから、お灸には多少、興味がありました。

多分、そんな話を授業でしたのでしょう。鍼灸師資格を持っていたある受講生が、深谷先生のお灸は面白いですよと、その著作物を持ってきてくれました。

なるほど、確かに面白いなぁ、と。色々と示唆されることがあって、もしかするとお灸に関しては名著かもしれませんね、とその受講生に言ったものです。

ここでお灸全般の話をしても仕方ありませんので、ウオノメに限っての話をします。

この深谷先生という人は当時、ウオノメに直接お灸をしないという風潮であったにも関わらず、ウオノメに直接お灸を据えたのです。すると、百発百中くらいの勢いで治っていくと・・・なるほど~理に適っているかも~と思いました。何故ならお灸というのは艾(ヨモギ)を使っておりまして、これは熱が直線的に深く入っていくという特徴があります。これは艾だけの特性で、他の植物でお灸を作っても、こういう指向性のある熱の伝わり方はしません。

そもそもそこからしてお灸の歴史的な神秘性を感じるのですが、それはいいとして、奥まったウオノメに対してまっすぐにお灸熱が入っていくのであれば、さもありなん!と納得しました。

しかし、私は灸師の資格を持っているわけではありませんので、それをクライアントさんに直接、施療するわけにはいきません。

そこで、せんねん灸という直接的に肌に触れない安全なお灸があることを知り、それを、教えてあげました。これだとやけどの心配もなく、肌に付着もしますから、お灸が肌からすべり落ちるということもありません。

ただし、繰り返しますが、これを使っても施療すると灸師法違反になりますから、あくまでそれを教えてあげてセルフケアとして自宅でやってください、というところに限定されます。(現物は見せてあげますけど)

ウオノメで辛いと言うわけですから、その解決策を知っていれば、それを教えて上げるというのは、当然のことです。しかも灸点を教える必要はないですしね。ウオノメの上に据えれば良いわけですから。

そのことによって、足揉みによる血流改善効果と相まって、非常に早く治るといことで喜ばれていたものです(もう15年くらいも前になりましょうか)

角質はモートン足の問題がありますので、お灸云々よりもインソールで解決できるのでしょうが、ウオノメは逆にインソールでは解決できず、直接、灸熱によって、ウイルスを殺し、血流改善によって再発を防ぐという考え方のほうが理に適っています。

せんねん灸は、さほど高いものではありませんから、毎日、セルフケアしても経済的負担は最小限に抑えられます。

ウオノメで悩んでいる人には、感謝されると思いますよ。

ウオノメが小さくなっていけば、下肢への血流障害が改善していっているな、という判断の基準にもなりますから一石二鳥です。

他にもウオノメ対策はあると思います。中まで削り取る。薬剤を使う。凍らせる・・・色々とあると思うのですが、お灸によるセルフケアというのが一番足揉みには相性が良いような気がします。冷やさないようにしつつ、足揉みを続けていけば再発も防げますから、選択肢としてはよりベターなような気がするのでご紹介した次第です。

PS

一度、お灸を据えてたちどころに治る・・・というものではありません。毎日、風呂上がりでも、就寝前でも、ウオノメに対して一壮、二壮と据えます。ある程度の根気は必要です。また、せんねん灸は熱さの度合いによって種類があります。初めての方はレギュラータイプ(伊吹)がよろしんじゃないでしょうか。せんねん灸は直接、肌を焼くことはありませので、普通の人は大丈夫だと思いますが、それでも肌が弱くて、お灸が苦手という方はマイルドタイプというのもあります。(なんか、せんねん灸の営業マンみたいになってきました-笑-このへんで止めておきましょう)