それでは前回の続きです。
ヒトの身体というのは、筋肉で動きます。
その筋肉の付き方なのですが、上半身と下半身で考えたとき、筋肉全体の70%が下半身に付いています。
考えてみれば当然の話で、古来よりヒトは移動の為に徒歩という手段を用いていました。
自分の体重を支えながら、かつ移動の為に足を交互に動かしているのですから、普通にやっていることが如何に負荷がかかることか・・・
病気でしばらくベッドに寝たきりになったとき、病が癒えて、いざ歩こうとしたら、足がガクガク震えてまともに力が入らないという経験を持っていませんか?
私は何回かあります。最初は14歳のときでした。手の怪我の手術で入院したのですが、ビックリしたものです。あのときは確か二日間寝たきりだったと思います。
14歳の元気な男子でも、たった二日で一瞬だけ歩行困難になるわけですから、お年寄りが骨折かなんかで寝たきりになって、それがキッカケでそのまま、ずっと寝たきりになるという話は、体験上、納得できるのです。
それはともかくとして。
筋肉というのは使わないと萎えてくるものです。
そもそもヒトの身体は使わないと退化していくものなのですが(内臓も頭も)、筋肉が一番早いし、体感しやすいのではないでしょうか。
そうすると我々の仕事を考えてみてください。
ドンと座ったきり、ほとんど下半身を使いません。
しかも手指と胸の筋肉に負担が集中します。
整体は立ってやりますし、ベッド周りで移動しますから、まだマシですが、7:3の筋肉の案分率を考えれば、やはり上半身に使い方配分が集中し過ぎています。
座る仕事を長く続けている人は寿命が短いという統計がありますが、まさにこれは下半身の筋肉を使わないことによって血流が悪くなるせいだと思います。
我々はよそ様の下半身の血流を良くする仕事をしていますが、そのせいで自分の下半身の血流が悪くなっては、なんだかなぁ、という話になってしまいますよね。
いずれにしても、身体の使い方のバランスが悪くなります。上半身の緊張が続くと心肺機能に影響を与えますから、肺の問題や心臓の問題がどこかの時点で現れるかもしれません。
足揉み仲間で、心筋梗塞で突然死した人を二人知っております。
また、創始者を含め、私も早い時期に心臓を悪くし、ステントが入ってしまいました。
何度もいいますが、ヒトを癒す尊い仕事だと思うのですが、そのせいで病を得ていたのではなんにもなりません。
ですから先輩の貴重なアドバイスだと思って聞いてください。
解決策は一つしかないのです。
運動することです。
ただし、運動といってもある程度歳になると激しい運動はよろしくありません。関節を傷めますし、活性酸素は増えますし。激しい運動は若い者に任せておいて、何歳になっても出来る運動があります。
それは“歩行”です。
強度の高い歩行が推奨されていますが、いきなりはハードルが高すぎますから、散歩の習慣を付けることです。
先日、整体の会員専用のwebサイトに話の流れで『朝散歩と昼散歩をルーティン化しています』、という書き込みがありましてね。とても感心しました。
その人、整体がメインで足揉みはやっていないと思うのですが、それでも朝と昼の散歩習慣を励行しているわけです。エライですね。
私は朝散歩を推奨していましたが、これに昼散歩も加われば鬼に金棒でしょう。
筋肉の使い方の不均衡は是正され、我々のような職業病的な症状とは無縁でいられと思います。つまり長く施術できるでしょうね、この方。
散歩の習慣さえつけば、強度の高い歩行に移行しても良いし、日によって気分によって散歩の速さを調整すれば良いわけですから、なんせ散歩習慣を作るということです。
散歩は筋肉使いの不均衡を是正するだけでなく、紫外線を浴びてビタミンDの産生に寄与します。それによって、骨は丈夫になりますし、免疫バランスが整えられます(これについては他の寄稿文でも強調していますよね)
足の施術家はとくに散歩習慣を身に付けないとイカンのです。
これが私の施術家人生の反省点でもあり、先輩として贈ることのできる最良のアドバイスだと思っております。
(コロナ渦で外出の機会が減り気味だと思うので、より一層散歩習慣を付けるべきでしょう)
もっとも効果があって、もっともお金がかからない方法です。
あとは意志の問題だけですね。