副腎については機会があるごとに書いておりますが、この度はちょっと違う視点で述べたいと思います。
昔(18年ほど前くらいかな)、ブログというのが流行り始めていましたので、私も時代に乗り遅れてはイケナイということで、毎日のようにブログを更新していた時期がありました。
今のように会員向けとかではなく、誰でも見て良いものだったんですね。ありがたいことに熱心なクライアントさんも見ますし、全く知らない方や同業者も読んでいたようです。
そんなことで、誰が読んでも面白いモノを心がけていたのですが、ある時、たまたま副腎をテーマにしたブログを書きました。
(昔、書いたブログはほとんど削除しております。700記事くらいありましたかね)
いつもオチを考えたり、ひねりを加えるたりする文章を考えますから、結構、時間がかかったりします。
それでも読んでくれる人がいるのを励みとして書いておりました。
副腎という臓器の由来みたいことを書いたあと「皆さん、結構 誤解しておりますが、この際、誤解を解いておきましょう。副腎は福神漬けとはなんの関係もありません」
これがウケてしまいまして、なんでこんな単純なジョークがウケるのかなと嬉しい誤算でしたね。
どうしてもオチが思いつかず、苦肉の策としてのジョークだったのですが、かえって印象に残っています。それから授業でもことあるごとにこのジョークを使いました。あまりにも使いすぎて飽きてしまったので、今は使っていませんけどね。
さて福神漬けとはなんの関係もない副腎なのですが、福神漬ならぬ副腎漬けに陥っている一群の人々が居ます。
副腎の使いすぎ・・・使って使って使いまくって、遂には疲労困憊になってしまうという人達です。
これを副腎疲労というのはご存知かと思います。医者によっては「副腎疲労?なんですか?それ?」と相手にしない人もいますので、正式な病名として認められてはいないのですが、ハッキリ言ってそういう医者は勉強不足です。
現在、成人した日本人の約8割が副腎疲労を経験していると言われています。
どこか調子が悪くて来院する我々のクライアントに限っていえば、ほぼほぼ百パーに近いんじゃないでしょうか。
原因は一言でいうとストレスです。ストレスがかかると、副腎が大活躍しますよね。すでに授業で習っていると思いますので、副腎の働きについては省略させてください。
授業では多分、習っていないことをお話しましょうか。
副腎髄質からアドレナリンが出ますよね。
一時的に活力が得られるわけですが、このアドレナリンが酸化しますと、アドレナクロムという物質になります。この物質はメスカリンという幻覚物質の同位体なので、あまりにも量が多いと幻覚を引き起こしたりします。
ただ、幻覚を見るほどの例は珍しくて、その辺はあまり考えなくとも良いでしょう。
ただし、幻覚とまでは言わないまでも、どうも最近「夢見が悪い」とか「悪夢にうなされる」といった症状がある方は要注意です。
また他人の噂が気になったり、人付き合いが億劫になってくるというのも副腎疲労の最初の兆候でしょう。
特に年配になると抗酸化酵素が不足してくる為に酸化しやすい体質になっています。抗酸化物質の宝庫である緑黄色野菜や果物(ビタミン)の摂取が必要な所以です。
また昨今のコロナ禍による引きこもりストレスが起きやすいというのも年配者の特徴ですので、注意深く診てください。
さて、そういうのは初期症状なのですが、本格的になってくると事は厄介です。
私は「急性副腎疲労症候群」ともいうべき凄い症例を知っておりまして、これは、笑い事ではないほど激烈です。
とある市の市長さんだったのですが、あるとき、代議士をしていた親戚の叔父さんが亡くなってしまいました。そこで、その叔父さんの地盤を引く継ぐべく市長を辞し、急遽、衆議院議員選挙に出馬したのです。
その選挙はちょうど所属政党に逆風が吹いていた時期であったため当初楽勝と思われていたものが最後の最後まで当落ギリギリだったようでした。
睡眠もそこそこに予断を許さない選挙戦を戦い抜いたのですが、結果は僅差で落選。市長まで辞めて選挙戦に打ってでたのに・・・ということで身体的、精神的ダメージは計り知れません。
その上、ある朝、起きてみると一通の置き手紙が・・・内容は妻からで「もう貴方には付いていけません、出ていきます」という逆三行半・・・
市長の座だけではなく妻まで失ってしまうというのは、男として相当なショックでしょうね。
それ以来、起き上がることさえできなくなったのです。
何を大げさな!と思うかもしれませんが、マジモンで布団から出られないのです。親戚筋から助けを得ながら、そんな日々を過ごしておりまして、ようやく再起を図ろうと行動しだしたのが一ヶ月は楽に経過していました。
しかし精神的にも肉体的にも万全ではなく、ようやく動けるもののいつも疲労感と気力のなさとの戦いです。身も心も疲れ果て、自殺することさえ考えたと言います。
そんなとき、後援者の一人から足もみを教えてもらったのです。
自分で足を揉み、時々、他人から施術を受けるようになりました。すると、ミルミル元気が出てきました。本人曰く「生き返ったようだった」と。
あれから30年近くが経過しておりますから、ご本人はとうに80歳は超え引退の年齢です。そして遂ぞ、念願の議員にはなれませんでしたが、足揉みの啓蒙に努めたという意味では有意義な人生だったろうと・・・僭越ながらそんな風に思っております。
当時は副腎疲労という概念さえなかった時代なので、いくら心身にダメージを負ったといえ、限度を超えているのではないか?と疑問に思ったものですが、後に(ああ、なるほど、これは典型的な急性副腎疲労だなと・・・いわゆる燃え尽き症候群の極端な例か・・・)と思った次第です。
もしこの人がエッセーを書くとすれば、お題は「ある男の副腎漬けな日々」。そしてサブタイトルが「いかに足揉みで復活したか」というふうにしたら良いと思います(笑)
これは架空の物語ではなく、直江先生も知っている実在の人物で、実際に起きたお話です。
なぜ、この話をしたかというと、足揉みはこの副腎疲労という症候群に対して、得意の分野といいますか、優れた方法であるという傍証としての意義を感じたからです。
副腎の反射区は「湧泉」(命の泉が湧く)というツボと合致します。経験則から疲れを取るとか元気を出させるツボだと先人達は知っていたのでしょう。
◎夢見が悪い、睡眠が浅い
◎人付き合いが億劫になってきた
◎常に倦怠感、疲労感がある
◎生活にめりはりがない
◎朝、布団から出るのに一苦労する
などということが思い当たる人は、副腎疲労の初期症状かもしれません。
こじらせるとウツ状態にまでいきますし、あるいは前述のように廃人同様にまでなる可能性もあります。転ばぬ先の杖です。クライアントにそんな人が居たなら、よくカウンセリングしてあげてなるべく通院して頂くようにもっていったら良いのではないでしょうか。